カテゴリ: 「こころのお知らせけいじばん」

こころのお知らせけいじばん

子どもにもPTSDは起こります。例えば直接自分が交通事故にあったときだけでなく、交通事故を目撃したとき、身近な人が交通事
故にあったと知ったときなど・・・。
典型的な症状はいくつかあります。思い出したくないのにトラウマを思い出して(フラッシュバック)パニックになること。トラウマ
を思い出すような人や場所を避ける、なるべくそのことを考えないようにする回避。イライラする、ビクビクする、眠りが浅いなど過
敏。感情が鈍くなる、トラウマを思い出せないなどの麻痺。これらが混在した状態になります。
対応は時期によって異なります。まずは安全・安心を保証し(幼児の場合、母親から離さず甘えさせるなど)トラウマを思い出す状況
を避けさせる、など家族が接し方の指導を受けるのも重要です。様子をみながら徐々に普通の生活を取り戻します。時期によっては、
幼児に遊びの中で解決を体験させるような場合もあります(車のおもちゃで「この車は止まっているから渡れるよ」と母親が一緒に遊
ぶ等)。
PTSDは脳の機能による症状で、誰にでも起こりうる反応です。性格の弱さではありません。早期に対応して長期化を防ぐことが大
切です。

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【依存症】
依存症といっても、アルコール依存症、薬物依存症、ギャンブル依存症、ネット依存症・・いろいろあります。「スマホ依存」などの言葉も日常で使われます。大事なことは、どの依存症も相談できるし、専門外来があるということです。全国の精神保健福祉センターでは秘密厳守で相談でき、家族からの相談も受け付けています。自宅の近くの専門外来を紹介してもらうこともできます。また、すでに精神科に通院中の人はぜひ主治医に相談してみてください。うつ病とアルコール依存症、不眠とネット依存症など、治療中の疾患と依存症が密接な関係を持つこともあります。
・アルコール依存症:若年者も増える傾向と言われます。日本では約4万人のみ治療に訪れていますが、実際には105万人の患者がいると推測されており、未受診の人が治療につながっていないようです。依存症の専門病院で治療が可能です。診療、抗酒薬、当事者会など手立てはいくつかあります。アルコールは判断力を弱くする物質で、問題行動は家族を巻き込みます。本人よりも先に家族が困る病気です。家族の相談により本人の受診につながることもあります。家族にも、家族会や家族教室があります。
・薬物依存症:違法薬物から危険ドラッグまで、さまざまです。若年者も接する機会が増加していると言われます。使用直後の幻覚幻聴妄想から、しばらく使用していないときの慢性化した幻覚幻聴妄想など、精神的な症状も出やすくなります。使用時の不整脈などで生命危機に陥る場合もあります。
・ギャンブル依存症、ネット依存症・・生計の破たん、昼夜逆転、ギャンブル代欲しさの違法行為などにつながりやすくなります。数は少ないですが専門外来もあります。ほかの精神科疾患や特性と関連することもあります。

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場面緘黙

言語の能力は正常で、家では元気に会話ができるけれど、園や学校など特定の場では緊張により言葉が出なくなる状態です。内向的で不安になりやすい性格のことが多く、育て方のせいで症状が出るわけではないと言われています。学校など大勢の中で目立たないことが多く、また家では普通に話すため気づかれにくいのですが、本人は困っています。
入園や入学などでは新しい場所や人間関係でますます緊張が高まります。事前に場所を見に行き慣れておく、顔見知りになっておく、気の合う友人と一緒に通学する、など不安を軽減するのが良いでしょう。また、園や学校に本人の特性を理解してもらうことも必要です。
まずは緊張する場で無理に話させようとせず、家以外でも安心して自己表現できる場を持ち自信をつけさせるのが目標です。話しにくい場では表情、ジェスチャー、筆談など別の方法でもコミュニケーションがあるほうが良いのです。友人を自宅に招きリラックスして遊ぶのも良いきっかけになることがあります。
治療は、カウンセリング、グループ療法などでコミュニケーションの体験を重ねることや、対症療法としての薬物療法があります。園や学校の協力を得て環境を調整することも重要です。

相談はスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーのほか、お住まいの区の福祉保健センターこども家庭支援課でも、問い合わせて相談窓口や医療機関を紹介してもらうことができます。

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どもり

「どもり(吃音症)」は、およそ100人に1人で主に就学前から始まります。多くは成長により自然に良くなります。
 子どもが話すことに苦痛を感じていない方が良くなりやすいようです。おうちの方は、どもりを指摘したり会話をさえぎったりするよりも、子供がリラックスして楽しく話せるように対応するのがよいでしょう。気分的な落ち込みも防ぐため、温かく支えて下さい。
 なお、話すことに苦痛が強い場合や、どもりに伴って顔や体をゆがめるなどの場合は専門家を受診するのが良いでしょう。言語聴覚士による訓練が必要なことがあります。

専門家は・・お住まいの区の福祉保健センターこども家庭支援課で、問い合わせて相談窓口や医療機関を紹介してもらうことができます。

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 統合失調症は、およそ100人に1人と言われる多い病気です。その数%が15歳以下の発症です。
 原因は、生物学的な素因から環境・ストレスまで、さまざまな要素が合わさっていると言われています。
幻覚や妄想の存在が診断に重要ですが、子どもの場合、はっきり診断できないことも多く、
その場合は統合失調症に準じて慎重に経過を追う事が必要です。
 強迫行為やカッとなりやすさなどが目立つ場合もあります。
 治療は、大人と同様に第二世代抗精神病薬による薬物療法などが中心となります。
また、再発を繰り返さないように、病気の特徴を理解し環境を調整することも長い経過では必要になります。

相談の窓口は、児童相談所、区役所のこども家庭支援課、心療内科や精神科のクリニック等があります。
小児精神科への紹介をご希望される方は、小児科クリニックにご相談ください。

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うつ病

成人では一般的に良く知られた病気ですが、小児・思春期にも起こることがあります。
ほとんどは軽症例ですが、まれに重い場合もあります。

症状は、成人のような「ゆううつ、かったるい」という気分よりも「イライラ」が目立つことが多いようです。
きっかけはストレス、体の病気、家族関係など様々です。

ほとんどが回復しますが再発の可能性もあり、長期的な視点が必要です。

受診は児童・小児を専門とする精神科や心療内科が良いでしょう。