こころのお知らせ掲示板「相次ぐ有名人自殺のニュース」

 最近、悲しいニュースが続いています。良く知る人気有名人の自殺のニュースなら、大人も子どもも動揺するのはごく当たり前の感情です。亡くなった有名人のファンだったり、年代や性別が同じだったり、似た境遇だったり・・・自分との接点が多いと特に、重ねて考えてしまいます。健康な人でも気持ちが引きずられます。メンタルの悩みを抱えている人なら、なおさら引きずられて悪い方に考えるのも無理はありません。ましてや、自分自身も死にたい気持ちを抱えているのなら・・・。
 有名人の自殺のニュースに関して、相手が未成年だったりすると、話題にするのをためらう気持ちがあるかも知れません。でも、自殺という事柄をわかる年齢なら、しかもショックを受けたという気持ちがあるようなら、無理に話題に蓋をする必要はありません。ショッキングな出来事に対する自由な気持ちを批判せずに聞いてあげましょう。うまく言葉を返せなくても、ありのままの気持ちを受け止め自然と寄り添うだけでも十分です。
 私自身もメンタルで治療中の方から「あの人の自殺はショックだった」などの話題をもちかけられますが「正直に言ってくれて良かった」と感じます。ひとりで抱え込まず、話した方が良いのです。そしてさらに、「自分も死にたい気持ちが無いわけじゃないから、考えてしまう」という方も・・・。それも正直に言ってくれて良いのです。言ってくれることにより、さらに安全な方向性を目指すことができるのです。精神科の治療では、死にたい気持ちを正直に話題にしたことにより背中を押すとは考えられていません(ただし、そのような気持ちがあるにもかかわらず、まだ専門家に全く相談していないなら、早急に下記に相談することをお勧めします)。
 最後に、最近はマスコミによる報道の仕方も配慮されてはいますが、あまりのめり込んで見過ぎないように・・・。ネットでの検索はやめてテレビのニュースも1日に決まった物を1つだけにするなど、ほどほどが良いです。気持ちが引きずられるようなことがあれば、助けを求めて相談して下さい。身近な人を通じて、または自分で、相談できる所とつながって下さい。

いのち支える相談窓口一覧   https://jssc.ncnp.go.jp/soudan.php

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「こころのお知らせけいじばん」は
精神科専門医いわもとあきこさんによる連載です。

カテゴリ:「こころのお知らせけいじばん」

公開日:2020年9月29日