起立性調節障害について

起立性調節障害とは、「たちくらみ、失神、朝起き不良、倦怠感、動悸、頭痛などの症状を伴い、思春期に好発する自律神経機能不全の一つ」です。心理社会的ストレスの影響を受けていることが多いので、心身症のうちの一つと考えられます。簡単に言うと、さまざまなストレスによって自律神経の働きが悪くなって起こる病気です。

次のうち3つ以上あてはまる症状がある場合は、起立性調節障害の疑いがあります。
1.立ちくらみやめまい
2.起立時の気分不良や失神
3.入浴時や嫌なことで気分不良
4.動悸や息切れ
5.朝なかなか起きられず午前中調子が悪い
6.顔色が青白い
7.食欲不振
8.腹痛
9.倦怠感
10.頭痛
11.乗り物酔い

まずは、貧血などの別の疾患がないかどうかの検査が必要です。
各種検査で異常が見つからない場合には、「新起立試験」という検査で起立性調節障害としての診断を確定します。
(これらの検査については当院では行っておりません。)

新起立試験で起立性調節障害として診断された場合、まずは非薬物療法(生活習慣の改善など)を開始します。同時に家庭や学校の環境調整も必要です。学校の先生やカウンセラーと相談してください。それでも良くならない場合には薬物療法もあります。一般的には血圧を上げる薬が使われます。

新起立試験で異常が見つからない場合は、別の心身症としての治療が必要でしょう。心療内科や小児精神科に相談してみましょう。症状に応じて、心理療法や薬物療法を検討してもらえます。

★当院では漢方診療を行っています★

 

以下のような方が対象になります。
・起立性調節障害と診断されたが、一般的な治療で症状が改善しない方。
・起立性調節障害に似た症状はあるが検査では異常がなく、心療内科や小児精神科で治療を行っても症状が改善しない方。
・西洋薬による薬物療法(血圧を上げる薬や抗不安薬など)よりも先に漢方薬を試してみたい方。

漢方診療では、症状や体質に応じて薬を処方しますので、「起立性調節障害の薬」というものがあるわけではありません。当院では、最初に1〜2種類の漢方薬を処方して2週間後に効果を判定します。その後は、効果を見ながら処方薬を調整していきます。合う薬が決まれば、長期処方も可能です。漢方薬はずっとのみ続けるわけではなく、症状がなくなればやめられます。しかし、人によって治療期間は様々です。1-2ヶ月で治療終了する方もいれば、数年治療を続ける方もいます。それぞれの患者さんの体質の違いもあるでしょうし、環境やストレスの違いもあるからでしょう。

前述した通り、「起立性調節障害の漢方薬」というものはありませんが、日本小児東洋医学会の治療の手引きでは起立性調節障害を3タイプに分けて有効な処方を紹介しています。

①精神的ストレスが強い精神身体型→柴胡桂枝湯
②めまい、脳貧血、動悸などの症状が中心の循環虚弱型→半夏白朮天麻湯
③食欲不振や腹痛などが著明な胃腸虚弱型→小建中湯
あてはまる方は試してみても良いと思います。

また、起立性調節障害については、詳しく説明してあるホームページがありますので参照していただくと良いと思います。

日本小児心身医学会 → http://www.jisinsin.jp/detail/01-tanaka.htm

カテゴリ:診療案内

公開日:2017年10月18日